プロの試合ではあまりないですが、小学生サッカーの試合だと10点差くらい差がつくいわゆる「大敗」をしてしまうことってありませんか?
私は10年以上指導をしていますが、何回か(何度も?)このような大敗を喫したことがあります。
今回の記事では試合で大敗する原因について考えていきたいと思います。
大差で負ける原因

サッカーは野球やバスケットボールと比べ、得点が入りにくいスポーツだと言われています。だからこそプロの試合などでゴールが決まると、時にルールを逸脱するほど喜びを爆発させるんですね。
しかし小学生の試合を見ていると、時々とんでもなく得点差のついた試合を目にすることがあります。
なぜでしょうか?
・レベルの差が大きい
まず考えられるのが、そもそも相手チームとのレベルの差が大きいことです。
練習試合では対戦相手を選ぶことができますが、カップ戦や大会の予選などでは組み合わせによっては普段対戦しないようなレベル違いのチームと対戦することがあります。
小学生とはいえ、Jクラブの下部組織もあれば実業団の下部組織もありますので、8人揃えるのがやっとのような地方のスポーツ少年団とではどうしても力の差が生じます。
たとえば、Jクラブの下部組織などは年代にもよりますがセレクション(テストのようなもの)を設けているので、技術の高い選手が集まりがちです。
それに対し地域のスポーツ少年団などは、基本的に校区や地域で区切られた範囲での選手構成。
どちらが良い悪いという問題ではありませんが、現実問題として向き合う必要があります。
・守備の意識が低い
二つ目の原因は、守備の意識が低いことです。主に下記のような問題があることが多いです。
・ボールホルダーに誰もチャレンジしない
・1人の相手に何人も一度に取りに行ってかわされる
・裏のスペースを使われる
・フリーの相手選手が多い(マークしていない)
・飛び込んで一発でかわされる
・シュートコースを切っていない
細かくあげるときりがありませんが、守備をすることに対して消極的だったり、正しい守備の方法を理解できていないと言った感じです。
同じくらいのレベルの相手なら少々守備が甘くても失点につながりにくいので問題にならないのですが、能力の高い選手が揃っていたり、組織的に崩してくるようなチームが相手だと、胃が痛くなるくらい失点を重ねますね。
・気持ちが折れる
三つ目の原因は気持ちが折れることです。小学生の試合を見ていて、大差になる試合の原因ナンバーワンですね。
1失点2失点くらいならまだ相手やボールに向かっていく気持ちを持っていますが、3点4点と失点を重ねていくとだんだんと子供たちの表情から諦めオーラが見え始めてきます。
相手のボールを奪いに行かない、ボールを失っても追いかけない、自分のミスを味方のせいにする等ネガティブな現象がピッチを支配し始めます。
そうなると相手チームも見逃しません。相手は勢いづくこちらはトーンダウンするという負のスパイラルが始まるわけです。
大差で負けないために失点を減らそう

では大差で負けないためにはどうすれば良いか。それは失点を減らすことです。
極論ですが、相手チームを0点で抑えることができれば、少なくとも負けはありません。最小得点1点を取れば勝利することができます。
では失点を減らすためにどんなポイントを気を付けていけば良いのでしょうか?
今回は代表的な3つの要素を取り上げます。
・相手のボールを奪いにいく
当たり前のことですが、これができていないために失点に結びつくことは多いです。
目の前で向かい合った相手のボールは誰でも奪いに行きます。
問題は少し離れたところにいるボールを持った相手選手に対し、一番近いところにいる選手が奪いに行かないような状況です。
相手選手との間に微妙な「間」があるため、自分が行かなければいけないという意識が薄く、周りやコーチに言われてハッと気付いた時には手遅れになっているのです。
こういう選手は 言われたら出来る→言われなくても自分で意識したら出来る→無意識に出来る という段階を踏んでトレーニングすることが必要ですので、粘り強く指導しましょう。
・1対1で飛び込まない
これもよくある現象です。しかしこの「飛び込まない」というのはとても難しい技術です。というのも、相手のレベルが高ければ高いほど飛び込まざるを得ない状況が生まれるからです。
たとえば能力が高い選手はファーストタッチで仕掛けたり裏のスペースをついてきたりします。わかっていてもそれをさせないためにはどうしても足を出してしまうのです。
僕が子供たちによく話すのは「1対1の場面は先に仕掛けた方が負ける。だから粘り強く守備をしよう」と言っています。
相手と向き合った1対1の状態で、相手が良い状態(=いつでもボールをコントロールできる状態)でボールを持っている時は距離を保ちながらじっと我慢。相手の体とボールが離れた時(=相手が仕掛けてきた時)にボールを奪いにいく。
プロ選手でもボールを奪うのが上手い選手は飛び込まないですね。普段のトレーニングで習慣づけましょう。
・シュートコースを切る
これまでの2つと違い、低学年にはちょっと難しいかもしれません。どうしてかというと、シュートしたボールが自分に当たるのが怖いからです。
低学年でも強烈なキックをできる子もいるので、シュートコースを切るということは、そんな強烈なボールが飛んでくるかもしれない「恐怖のエリア」に足を踏み入れるということ。実際当たったら痛いですしね。
ただ、難しいとしてもシュートコースを切ることの必要性を説明する必要はあります。
「ここから相手がシュートをして、自分たちのゴールまでの間に誰もいなかったら、シュートする相手は狙い放題だよね?」とか、「もし君がシュートをする時に、真ん前に相手選手がいるのといないのとでは、どっちがシュートしやすい?」とかですね。
そうしていくうちに少しずつ必要なプレーということが理解できて、徐々に意識が変わっていくでしょう。
子供たちにかける言葉

最後に、大敗した試合で子供たちにかける言葉について考えてみたいと思います。
負け試合なので、どうしても敗因の分析や説教っぽいことを言ってしまいそうになりますが、私はあえて選手たちの健闘をたたえるようにしています。
「いっぱい失点したけど最後まで諦めなかったのは良かった」
「得点差ほど相手との力の差はないよ。このシーンのこのプレーがこんなふうに改善されたら次はもっと良いゲームになる」
話す内容は自分が感じたことを前向きに伝えたので十分。「なぜできないんだ!」と思う前に「どうすればできるようになるだろう?」と向き合うことが必要ですね。
大切なことは試合を通じて得た学びを次の試合に活かすとことです。
まとめ
大差での負け試合は、選手たちにとってもショックなものです。
子供たちの気持ちに寄り添いながら、次の試合で勝つためにはどうしたら良いか、そのためには日々のトレーニングはどうすべきなのか。敗戦を経験という力に変えて、しっかりと子供たちと向き合っていきましょう。
では今回はこのへんで !