「うちの子サッカーの素質ないんです・・」
「練習しても他の子みたいにできなくて。。」
サッカーのコーチをしているとたまに保護者の方からこういった相談を受けることがあります。
私も自分の子供を教えていた時期があり同じような悩みを抱えていたことがあるので、そう言った保護者の方の気持ちもよくわかります。
今回は小学校年代でのサッカーの素質についてお話ししていきます。
結論から言うと小学生の時点でサッカーの素質を正確に見抜くことはとても難しいです。理由は本人も周りも変化していくからです。
では始めましょう!
小学生の頃にサッカーの素質を見抜くのは難しい

小学生のサッカーの素質を見抜くのは難しいです。
皆さんは小学生年代でサッカーの素質がある選手と言えばどのような選手をイメージしますか?
ドリブルがキレキレな子。強いシュートを打てる子。尋常じゃなく足が早い子。
そういった選手を思い浮かべるんじゃないでしょうか。
しかし私が今まで見てきた経験では、そういった小学生時代の『特徴』は年齢が上がるにつれて薄まっていくことがほとんどです。
小学生の頃はドリブルで何人でも抜いていくことができた子が、中学生になった途端に相手ディフェンスに通用しなくなったり、チームで一番足が早かった子が、周りにどんどん追い越されてスピードで勝負できなくなったりする例は多く見てきました。
原因はいろいろありますが、ひとつは成長の個人差があると思います。
皆さんの周りにもいませんでしたか?低学年の頃は学年の中でも一番ちっちゃかったのに、5、6年生くらいになると急に背が伸びた子。それに伴い走る速さが速くなったり、力が強くなったりして周りの子供よりも身体能力が勝るケースです。
ある選手の場合、6年生で大人くらいの身長がありチームでダントツに足が早く、大会ではいつもMVPでした。
しかし周りの子も成長しますので、徐々にその先行利益は小さくなっていきます。
そして高校生になる頃にはすっかり「小柄で足の遅い」プレーヤーになっていました(←ちなみにこれは私のことです)
こんな例は珍しいことではなく、どちらかと言えばこんなことの方が多いです。
素質を感じる子供の特徴

小学生のサッカーの素質を見抜くのは難しいのですが、10年以上サッカーのコーチをしていて、素質があると感じる子供の特徴をあえて挙げるならこの2つです。
- サッカーを楽しむことができる
- 見たことをすぐにマネできる
「なんだそんなことか」
と思われる人もいると思いますが、実はこの2つができる子は意外と少ないです。
まずサッカーを楽しむということですが、たいていの子はサッカーを楽しんでいるように見えます。いや実際に楽しんでプレーをしている時もあります。
しかしある特定の場面(たとえば試合で負けているとか、何度やってもできない技があるなどの状況)になると、サッカーを楽しめる子とそうでない子の差が出てくるのです。
サッカーを楽しむことができる子は、たとえ負けている試合でもすねたり投げやりになったりせずに自分のペースでサッカーをすることができます。この差は大きいですね。
もう一つの見たことをすぐマネができるについては「生まれ持ったセンス」みたいに聞こえるかもしれませんが、少しニュアンスが違います。
どちらかと言うとマネできるようになるまで黙々と打ち込む感じです。集中力に近いかもしれません。
また教えたことができるようになるだけではなく、うまい子のプレーを「見て盗む」的なことも自然とやっています。
じゃあこの2点が素質だとしたら、これらは生まれ持ったものなのでしょうか?
素質という言葉を辞書で調べると、生まれつき持っている性質とあります。
そ-しつ【素質】
出典 goo辞書
1.生まれつき持っている性質
言葉の意味通りだとすると素質とは生まれつき備わっている性格や能力です。
しかしこの2つとも環境によって変えていくことができます。
そしてその環境を提供するのがコーチの役割だと考えます(と言いながら私もまだまだ十分にできてはいないのですが)
伸び悩みそうな子供の特徴
逆に今は素質があるように見えるけど、将来的にはちょっと難しかなぁという伸び悩みそうな子供の特徴についてもお話しします。
- 走るのが速くスピード勝負では負けない
- リフティングだけは超うまい
- キック力が強い
- ドリブルで何人でもかわしていける
チームに1人はいそうですよねこんな感じで目立つ子。試合でバンバンゴールを決めて、将来プロになるんじゃないかと周りからもめちゃめちゃ期待されて。
しかしそういう子ほどステージが上がるほど影が薄くなりがちです。(あくまで個人の感想です)
じゃあメッシはどうだったんだって言われそうですが、もちろん天才はいると思っています。
多分プロで活躍している選手は少なからず小さい頃から飛び抜けていたと思います。
たまに代表選手の経歴を見ていると「育成年代では代表経験がなく・・・」みたいに書かれている選手がいますが、代表経験がないだけでめちゃめちゃうまかったことは間違い無いと思います。
話を戻します。
たとえばリフティングがうまいというだけではサッカーの素質を測れません。
リフティングがうまいほどサッカーの素質があるなら、フリースタイルフットボーラーが代表入りしててもおかしく無いですが、聞いたことがありません。
小学生の低学年でリフティングが300回できた=サッカーの素質があるという論調になりがちですが、正確にはリフティングの素質があるということです。
サッカーは蹴る・運ぶ・とめるなどの様々な要素を必要な場面で最良の選択をし続けることが必要です。
よほどの天才じゃ無い限り、一つの強みだけで勝負し続けることは難しく、その強みもステージが上がるにつれ維持し続けることは難しいのです。
僕も指導している子供の中に「少し伸び悩んでいるな」と感じる子供がいます。そう言った子には、1on1ミーティングの中で課題を共有して、一つずつ解決して行けるようにしています。
関連記事:【効果あり】子供を理解するために練習前に1on1を導入しました
まとめ
今回はサッカーの素質を小学生から見抜くのはむつかしというお話をしました。
素質があると感じる子供の特徴
①サッカーを楽しむことができる
②見たことをすぐマネできる
伸び悩みそうな子の特徴
・走るのが速い リフティングがうまい キック力が強い ドリブルがうまい
まとめると、小学生のうちからサッカーの素質を見抜くのはむつかしけれど、サッカーを楽しんだり見たことをすぐマネできるような環境を提供することで変化させていくことができるようになります。
指導者の中では「子供時代のスーパースターが大人になってもスーパスターでいることは少ない」とよく言われています。
私もあながち間違いでは無いと思います。
だからこそ今の状態がいつまでも続くのではなく変えていくことができるという気持ちで子供と接するようにしたいですね。
ではまた!