私は息子がサッカースクールに通っていたのがきっかけでサッカーのコーチになり、10年以上指導をしています。
きっかけはどうであれ、この記事を見ている人の中には同じように”お父さんコーチ”をしている人も多いんじゃないでしょうか。
最初は”低学年”を教えてだんだんと上の学年にステップアップというケースが多いと思います。
しかしこの”低学年”こそ子供がサッカーと出会うとても大切な時期になります。
今回の記事では”低学年”サッカーのコーチング3つの心構えについてお伝えします。
- 自らの成長を実感させる
- 持っている能力を引出す
- サッカーの楽しさを伝える
専門書やYoutubeで勉強していろいろなトレーニングをするという方法もありますが、シンプルにこの3つを意識すれば子供だけでなくあなたのコーチングスキルもアップしますよ。
ではどうぞ!
“低学年”サッカーのコーチングとは

あなたは低学年のコーチングとはどういことをイメージしますか?
低学年に限らずですが、サッカーのコーチングとはもともと選手が持っている能力をコミュニケーションによって引き出す方法です。
具体的にいうと、今は出来ないことを出来るようにするための道筋を付ける(トレーニング方法を考える)行為です。
例えばサッカー経験のあるお父さんコーチにありがちなのが、デモンストレーションして見せた技ができない子に「なんで出来ないんだ」ってなる場面です。
気持ちは分からなくないですが、出来る方法を考えるのがコーチングです。
なぜならたいていの場合子供は出来る能力を持ち合わせているからです。
低学年の場合は特に一人ひとりの特性に合わせて能力を引き出すようなコミュニケーションが必要なのです。
“低学年”サッカーの特徴

低学年の練習や試合を見たことがある人ならわかると思いますが、低学年サッカーには大きく分けると次の3つの特徴があります。
- 止めれない けれない はこべない(3ナイ)
- おだんごサッカー
- 自分の興味がないことはしない
止めれない けれない はこべない(3ナイ)
小学校低学年といえば、サッカーを習い始めて間もない子が大半です。
ごくまれにスーパーキッズもいますが、経験から9割の子は3ナイと見て間違いありません。
蹴れないのでパスはつながらないし、止めれないのでボールは素通り、はこべないのでプレーの選択肢はボールをつま先でつつくぐらいしかないのです。
おだんごサッカー
3ナイの状態なので、試合の時のゲーム展開はもちろんボール任せです。
つまりボールの場所に合わせて全員が一丸となってボールを触りにいきます。
パスコースもスペースもないので、出来ることは相手ゴールに向かってひたすらボールをつつくことだけです。
まるで肩を組んでいないスクラムみたいですね。
興味がないことはやらない
小学校低学年の子は興味がないことはやりません。
ある意味これが一番大きな特徴と言えるかもしれません。
ボールに向かっている子がいる一方で、コートの隅っこで地面にアンパンマンのイラストを書いている子もいます。
その子にとってその瞬間はサッカーに興味がないのです。
そしてサッカーよりもアンパンマンのイラストを仕上げることの方が優先順位がはるかに高いのです。
“低学年”のコーチングに必要な3つの心構え

自らの成長を実感させる
低学年のコーチングに必要な心構えその1は自らの成長を実感させることです。
理由は低学年の子供(に限りませんが)は自分が上手くなったことに喜びを感じ、さらに上手くなろうと思うようになるからです。
どういう事かというと、同じ学年の中で一番うまいこと比較するのではなく、昨日までと今日の出来を比較して成長を伝えることが大切という事です。
低学年の子供は技術面・身体面共に個人差が大きな時期でもあります。
それなのに全員が一番うまい子を目指していたら、到達する前に心が折れてしまう子が出てくるかもしれません。
しかし昨日までの自分を追い越すことはそれほど不可能じゃありません。
どんな些細なことでもいいので、子供の成長を見逃さず「いいぞー!上手くなったぞー」とほめてあげてください。
持っている能力を引出す
低学年のコーチングに必要な心構えその2は持っている能力を引き出すことです。
低学年とはいえ、よほど難しいことを要求しなければ必ず出来るようになります。というか出来る能力を持っています。
よく指導者との会話で
「同じことを教えてもすぐに出来る子といつまでも出来ない子がいる」
みたいな話を聞きますが、半分正しく半分まちがいだと感じています。
訂正するなら「あなたの教え方で理解できた子と出来なかった子がいる」です。どちらかというと教え方にフォーカスした方が良いというスタンスですね。
「教え方が悪いんじゃないの?」と言ってるわけではなく理解できなかった子には別の教え方が必要ですよねって話です。
子供は個性がバラバラなので、一つの教え方で全員が同じように出来ることはまぁないです(経験上)
また、要求するレベルもその子の能力に応じたものでなければ能力を上手く引き出すことはできないでしょう。
低学年をコーチングする時は子供の特性や能力にレベルを合わせた教え方のバリエーションを用意することが必要なのです。
サッカーの楽しさを伝える
低学年のコーチングに必要な心構えその3はサッカーの楽しさを伝えることです。このサッカーの楽しさを伝えることが一番大切です。
これができれば地面にアンパンマンを描く子供はいなくなります。
じゃあどうすれば楽しさを伝えられるのかという話になりますが、ずばりミスよりもチャレンジしたことを評価するです。
悪い例を使って説明すると、
「ドリブルとられんなよぉ!」
「なんでパスしないんだっ!」
「お前のミスのせいだぞ!」
これらは全て子供を否定する言葉です。極端な例だと思うかもしれませんが、いまだに実際に耳にすることがあります。
これを逆にしてコミュニケーションを取れば、たいていの場面で上手くいきます。
「いいフェイントだったぞ!」「パスとドリブルの選択を持ってプレーしたのよかったぞ!」とかです。
原理原則から入るとどうしても否定的な発言になってしまいがちですが、低学年年代で大切なのは出会ったばかりのサッカーを好きにさせて夢中にさせることです。
そのためにはミスを恐れずどんどんチャレンジが出来るような雰囲気づくりを工夫してみましょう。
まとめ
今回の記事のまとめです。
- 低学年コーチングに必要な3つの心構え
(成長の実感・能力を引出す・楽しさを伝える)
子供は一人ひとり異なった能力を持っています。
新しい技術や専門的な戦術を教えるのもいいですが、まずは出来るはずのことを出来るようにするのがコーチングだということを意識してみてください。
そうすれば子供のレベルと共にあなたのコーチングスキルも自然とアップして、より充実した指導が出来るようになりますよ。
ではまた!